世界中で次々に禁止になる強制給餌

強制給餌は、つい最近までフォアグラを生産していた数国を含め、既に多くの国で禁止されています。未だに強制給餌を行う国は、時代遅れになってきています。

強制給餌は、動物を粗悪な管理から守る法律を見れば明らかに違法なため、多くの国は、それを明確に禁止する法整備の必要性を感じていませんでした。 従って、これらの国では、鴨やアヒルに対して強制給餌を行うことは、猫の喉に金属管を突き刺して、健康を害するほど過剰に強制給餌することと同じように、非人道的と考えられています。

ヨーロッパ

欧州連合においては、畜産動物保護に関する指令と、フォアグラ生産に関する勧告がなされています

指令には、「いかなる動物も不必要な苦しみと身体的損傷を伴うような給餌・給水をされるべきでない」と明記されていることから、強制給餌は違法となります。(第14条)

勧告においても、強制給餌を禁止していない国に対して禁止するよう勧告しています。(第24条)

その様な規制の結果、正式な欧州連合国ではない国も含め、各国において自国での法制定をしている国もあります。

Carte des l´gislations européennes Allemagne Autriche Belgique Bulgarie Danemark Espagne Espagne Finlande France Espagne Hongrie Irlande Italie Italie Luxembourg Norvège Pays-Bas Pologne République Tchèque Royaume-Uni Suède Suisse

欧州連合加盟国

  • ドイツ :
    « 動物の健康のためにやむを得ず行う場合を除き、動物に強制的に給餌を行う事は禁ずる » (1993年 動物保護法2編3条9項)
  • オーストリア :
    9つの内6つの地方の条例において、動物に対する強制給餌が禁止されています。« 動物の健康に対するやむを得ない状況を除き » »、動物に対する強制給餌が禁止されています。
  • デンマーク :
    « 動物の病気治療以外の目的で、動物に強制的に給餌を行うべきではない »(1991年 動物保護法5条)
  • フィンランド :
    « 動物を太らせる、或いはより生産を増やすという目的で強制的に給餌を行ってはならない » (1996年4月 動物保護法2章11条)
  • アイルランド :
    1984年に制定された動物保護法の第5条にある、動物に対する不適切な管理を禁止する条文が、強制給餌も禁止すると解釈できます。
  • イタリア :
    « 2004年1月をもって、鴨やガチョウに対する強制給餌、及び生きたガチョウの羽取りを禁止する » (畜産動物保護を目的とした欧州98/58指令 に基づく、2001年3月26日制定 イタリア法第146、2-1条b項及び付則19条)
  • ルクセンブルグ :
    « 健康状態がそれを必要としない限り、動物への強制給餌は禁止する » (1983年3月15日制定 動物福祉保護法8章20条6項)
  • オランダ :
    動物保護に対する基本条例の中で、強制給餌行為は禁止されています。(1992年 動物福祉健康法36-1条及び37条)
  • ポーランド :
    « 動物は、苦痛を感じる生き物であり、単なる物体ではない。人間は、彼らに敬意を持ち、保護し、気遣わねばならない。 » (1997年8月 動物保護法) « 変性した脂肪の多い肝臓を得るためにガチョウや鴨を太らせることは禁止する。 » (第3章12-7条) これらの法令に伴い、新しいフォアグラ生産農場は設置を認められず、また既存の農場も、1999年の1月1日より廃止になりました。驚くべき事に、ポーランドはかつてフォアグラ生産量において世界第5位だったのです。
  • チェコ共和国 :
    « 動物は人間と同じ様に、違う度合いの痛みや苦しみを感じる事の出来る生き物である。人間による保護、適切な対応への権利がある。 »(1993年5月19日法令162番、及び1994年9月27日 法令193番による動物保護法)。このなかで、第4節P項では動物への強制給餌を禁止しています。
  • イギリス :
    フォアグラや強制給餌に対する具体的な法律はありませんが、歴代農水大臣たちは、畜産動物法の22~24条、及び畜産動物保護を目的とした欧州98/58指令をもとに、フォアグラ生産を行うことは違法とみなされると主張してきました。
  • スウェーデン :
    1988年制定の動物保護基本法の第3、4条が、強制給餌の禁止と同等の内容になります。

その他のヨーロッパ諸国

  • ノルウェー :
    « 動物に対する強制給餌は禁止する » (1974年動物保護法 第8条4項)
  • スイス :
    1978年制定の動物保護法が、強制給餌の禁止と同等の内容を記述しています。

諸外国

  • イスラエル :
    2003年8月に、イスラエル最高裁は強制給餌の禁止を決定し、次いで2005年の3月31日に法律を制定しました。決定に至る理由は以下の様に述べられています。« 農産業の必要性が、動物保護への関心より常に重要視されるべきではない。 » (T. Strasberg-Cohen裁判官 第16項) この決定は、かつて世界で4位の生産量であった国としては驚くべき英断です。 欧州委員会の動物健康福祉についての科学調査報告の助力もあり、議決されるに至りました。 2005年10月には、イスラエル政府はフォアグラ生産者への補償と再転換の委員会を設置しました。
    参考サイト : pitum.com(ヘブライ語)
  • アメリカ合衆国 :
    カリフォルニア州政府では、2004年の7月に以下の項目を禁止する法律Loi SB1520 が可決されました。
    • 通常のサイズ以上に肝臓を太らせる目的で鳥に給餌する事
    • 鳥の強制給餌からなる製品の販売
    フォアグラ生産者に職業転換を準備させるため、この法律の施行は2012年の7月1日からとなりました。またこちらも、欧州委員会の動物健康福祉についての科学調査報告の助力がありました。 似た様な法律は既にその他の州(ハワイ、イリノイ、マサチューセッツ、ニュージャージー、ペンシルベニア、ワシントン)でも提案されています。
    シカゴの街では、2006年8月に一度フォアグラの販売が禁止されましたが、2008年の5月に禁止条例は取り消しになりました。
    参考サイト :
  • アルゼンチン :
    法令は、« 強制給餌は、粗悪な管理と残虐行為に分類される。(中略) 動物及びその動物から得られる製品・臓器の利用を目的とした動物への強制給餌は禁止する。 » と定めています。